一般社団法人 日本古琴振興会
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古琴と日本

古琴の伝来

古琴は、遣唐使の時代に、大陸から日本に伝来しました。
箏や和琴など他の「コト」(弦楽器の総称)と区別するために「琴(きん)」または「琴(きん)のこと」と称されました。
日本に現存する古琴の代表的なものとしては、
正倉院宝物の「金銀平文琴(きんぎんひょうもんのきん)」、法隆寺献納宝物の「開元琴」(東京国立博物館所蔵、国宝)が、唐代のものとして有名です。
他にも、厳島神社蔵の伝平重衡所用の「法花」(重要文化財)、尾張・徳川義直の「老龍吟」、紀伊徳川家伝来の唐琴「冠古」(別銘「梅花断」、『集古十種』所載)、「谷響」、「幽蘭」(寛政年間)、天明三年「無銘琴」(4張ともに国立歴史民俗博物館蔵)など多く伝わっています。
また、江戸文人の中には、自ら古琴を製作する者もいました。
浦上玉堂に師事した児島百一は、古琴を100面作ったところで名を百一と改めたといわれています。

国宝『碣石調幽蘭』

現存している古琴の楽譜のうち、最も古いものは日本にあります。
紙の巻物に墨で手書きされた『碣石調幽蘭第五』は、 中国の南朝梁末期の丘公(きゅうこう、590年没)の作と伝わる琴譜が、唐代の人物によって抜書きされたものです。
この楽譜は和漢の交流の中で京都・西賀茂の神光院に伝来し、日本では、江戸時代に荻生徂徠によって研究され、『幽蘭譜抄』などが著されました。
一方、この楽譜は本国の中国では失われてしまい、その存在も忘れられていました。
幕末から明治期には医者森立之(もりりっし)による漢籍目録『経籍訪古志』(けいせきほうこし)に収録され、清朝の外交官として日本に滞在していた黎庶昌(れいしょしょう)が『古逸叢書』(こいつそうしょ)に収録して、ようやく中国でも広く知られるようになりました。
現在、日本では国宝に指定され、東京国立博物館に保存されています。
記譜法としては「文字譜」と呼ばれるスタイルをとり、一音一音について、左手の指をどこに置いて右手の指でどのように弾くかといってことが、文章として綴られているのが特徴です。
これは現在の琴譜に用いられている「減字譜」のもとになったものです。

東皋心越

江戸時代に、中国清朝の杭州から日本へ渡来した東皋心越は、古琴演奏や書画、
そして篆刻の技能を兼ね備え、日本の文人や学者を魅了しました。
平安貴族の間で愛されていた古琴に、江戸文人や茶人の間で再び脚光を浴びせた重要な人物です。
東皋心越は杭州から旅立ち、まず長崎に上陸し、そこから京都を経て、江戸までたどり着きました。
水戸黄門で知られる徳川光圀と親交を持ち、水戸で生涯を全うしました。