一般社団法人 日本古琴振興会
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イベント報告

2019年

12月10日(月) 丸三ハシモト工房 交流会 (滋賀県長浜市)

滋賀県長浜市木之本町の丸三ハシモト株式会社さんを訪ね、絹絃の工房を見学させていただきました。
奥琵琶湖は昔から養蚕・糸取り業が盛んな、良質な生糸の産地です。

先月まで東京国立博物館で開催されていた『正倉院の世界展』で展示されていた「螺鈿紫檀五絃琵琶」の復元に際し
古代種の蚕「小石丸」の糸での絃の製作を担当されたのが丸三ハシモトさんです。
全ての工程が丁寧な根気のいる作業で、まろやかな音色が生まれるまでの途方もない努力に頭が下がるばかりです。

工房を見学させていただいた後は、昔ながらの街並みの残る北国街道にあるハシモトさんのご自宅で町の方もお招きしての交流演奏会を開かせていただきました。
絹絃を張った古琴の音色を、糸の故郷にお返しできる、有難い機会となりました。

日本、中国、台湾からの総勢24名もの大人数での見学を快く受け入れて下さった工房の皆様。本当にありがとうございました。

12月9日(月) 日中共演 古琴コンサート「琴の縁」(サントリーホールブルーローズ)

一昨年に続き、サントリーホール ブルーローズでの演奏会を開催しました。
今回は、中国、台湾から古琴演奏家をお招きしての交流演奏会です。
サブタイトルの「琴の縁(えにし)」にはさまざまな思いがこめられています。
次のようなプログラムで、お届けさせていただきました。

一)古琴と和太鼓「神人暢」 武井欲生 藤井絵理香(太鼓) 「聴風琴社」社中
 二)古琴独奏「幽蘭」 孫于涵
 三)古琴独奏「侠仙遊」 昝錘煉
 四)古琴独奏「酔漁唱晩」 張麗茹
 五)古琴独奏「梅花曲」 単立
 六)古琴と詩吟「楚歌」~垓下の歌 武井欲生 林鈴麟(尺八) 村田精流(詩吟) 「聴風琴社」社中
 七)古琴独奏「掻首問天」 倪歌
 八)古琴独奏「流水」 李亜熙
 九)古琴独奏「もののけ姫」 武井欲生

お客様のアンケートから、感想をいくつかご紹介させていただきます。
 ・古典曲の一音一音のうつろいが美しく、心がふるえました
 ・深い音、豊かな音色がとても心に残りました
 ・手の動きにみとれてしまいました
 ・次はマイクを通さない生の音を聴いてみたいです
 ・なつかしい気持ちがこみ上げてくる感じ
 ・時の経つのも忘れ琴の描く物語の中に遊んだ素晴らしい時間でした
 ・アーティスト高欲生の素晴らしさを改めて強く感じ入りました

 本邦初披露の武井先生の「もののけ姫」を素晴らしいと多くの方が挙げてくださった他、「流水」「梅花曲」「垓下の歌」など、それぞれに心に残る一曲に出会っていただけたようです。
共演の藤井絵理香さん(太鼓)林鈴麟さん(尺八)、村田精流さん(詩吟)にはコラボレーションで盛り上げていただき、こちらも新鮮に感じていただけたようで嬉しく思います。

 ご来場いただいたお客様、ありがとうございました。またお目にかかれる日を心待ちにしております。

アジア伝統琴楽のつどいin Japan
12月8日(日) シンポジウム『伝統音楽研究発表会』

2019年、一般社団法人日本古琴振興会は設立五周年を迎えました。
これまでに出会い、支えていただいた全ての皆様に感謝申し上げます。
この度「アジア伝統琴楽のつどいin Japan」と題して、中国、台湾から研究者や製作者、演奏家をお招きし、研究発表会と交流演奏会を開催いたしました。
皆様のおかげをもちまして、節目の年の締め括りにふさわしい、心温まるイベントとなりました。


教室のお隣、立正大学大崎キャンパスの大教室をお借りしてのシンポジウム。 プログラムは次の通りでした。
第一部 「東皐琴譜」の再現および、新曲の移植作品の発表
1. 王有文  「南風歌」
2. 李 漣   「久離別」
3. 陳志強  「極楽吟」
4. 張静萍  「梅花」
5. 張 綺   「清平楽」
6. 麦嘉凌  「思来引」
7. 韓国棟  「八声甘州」
8. 鎌田嘉之 「太平引」
9. 李文潔  「半壺紗」
10. 呉本舜  「竹田の子守唄」
11. 王 風   「鎮命歌~しずめうた~」

【13:00~】第二部「琴楽およびアジア伝統音楽論文発表会」
1. 田中有紀 「伝統音楽とは何か ― 朱熹の古楽論と琴楽」
2. 陳 雯   「台湾近現代古琴教育の発展状況の概略」
3. 単衛林  「琴製造から見た中国現代古琴の発展」
4. 稗田浩雄 「明治初めの黄遵憲ら中国外交官と琴をめぐる交流」
5. 胡丹越  「日中楽器絹絃の源 ― シルク産業の概況と考え」
6. 呉躍華  「出土上古琴軫(しん)についての研究」

【15:00~】第三部「演奏発表会 ~琴人暢~」
1. 陳 雯 「幽蘭」
2. 呉婧  「白雪」
3. 蔡文斌 「洞庭秋思」
4. 黄錦峰 「東渡」
5. 張婷婷 「孔子読易」
6. 褚曉筠 「水仙操」
7. 陳逸墨 「碧澗流泉」

中国、台湾から32名、日本側15名の総勢47名が参加し、和やかな雰囲気の中にも白熱したひとときとなりました。
 第一部の「打譜」部門では、耳慣れた琴曲とは一風変わった曲の数々が演奏発表されました。古くから続く伝統は大切に守りつつ、琴の可能性を今の時代に広げていく試みに刺激をもらいました。
 第二部の研究発表では、古琴の歴史をめぐるお話や、製造の現場からのお話、さらには絹絃や古琴軫についてなど多彩なテーマで発表が行われました。
 第三部は、古琴の伝統曲の演奏発表会です。「幽蘭」「白雪」「洞庭秋思」「東渡」「孔子読易」「水仙操」「碧間流泉」…曲題を眺めただけでも、古琴の詩的な世界が立ち上るようです。たおやかに、しっとりと、あるいは颯爽と、演奏者のそれぞれの個性も魅力的でした。
 終了後は大崎駅前の「日本海」に場所を移し、懇親会で交流を深めました。

10月14日(月祝) 正法山明法院「第八回 古琴演奏会 in 一宮町」(千葉県一宮町)

9月末から10月初めにかけて、日本列島は台風による大きな被害を受けました。
予定していた一宮町での演奏会の直前の週末にも台風19号が上陸し、身近に被害があった方もいらっしゃるかと思います。
そんな時ではあったのですが、そんな時だからこそ、という武井家元のお気持ちのもと、予定通り演奏会を開催させていただきました。

毎年お世話になっている千葉県一宮町の正法山明法院での演奏会。今年は八回目を迎えました。

本来であれば、一宮町長さんも来賓としてお迎えし、「鷗鷺忘機」をご披露くださるはずでしたが、台風の後のご多忙でいらっしゃることができませんでした。
それでも、再びの雨で本当に足元の悪い中、ご来場くださったお客様、お茶のお手伝いに駆けつけてくださった町の方々に深く感謝申し上げます。

「神人暢」「楚歌」の合奏二曲の他、「慨古吟」「良宵引」「碧間流泉」「酒狂」を演奏。
呉本舜さん自ら打譜した「竹田の子守唄」も披露しました。
「滄海一声笑」では、途中、武井先生の歌が自然と広東語になったのも、徐克監督の映画『笑傲江湖』を彷彿とさせて私個人としてはガッツポーズ!でした。
ゲストの尺八・林鈴麟先生は、「楚歌」での共演の他、ソロで「鹿の遠音」を聴かせてくださいました。

休憩時間のお茶では、可愛らしいお運びさんが大活躍。きりっとした袴姿の男の子が、尺八の演奏に魅入られるように聴き入っているのも嬉しいことでした。
明法院の秋場ご住職からは、「心に沁み入る音色」との有り難いお言葉もいただき、ささやかながら心温まる演奏会となりました。

ご参加いただいた皆様、お手伝いいただいた皆様、温かく会を支えてくださったお客様、そして毎年お招きいただいている上に更なるお心遣いまで賜った明法院の秋場ご住職に、心より御礼申し上げます。

9月14日(土)~16日(月祝) 西伊豆合宿(静岡県沼津市井田)

第四回目となる古琴合宿。今年も西伊豆井田の民宿「やまに」にお世話になりました。
今年の合宿の大きな課題の一つが、12月9日にサントリーホールでのコンサートで演奏する「神人暢」と「楚歌」の合奏練習です。
滞在中、近くの海辺に散歩に出る他は、ひたすら部屋に缶詰めとなって練習に明け暮れました。

そんな特訓の合間に立ち寄った海はとても穏やかで美しく、ほっと一息つかせてくれました。
青い海の向こうの清々しい富士山の姿は、何度訪れても心洗われるようです。

また、中秋の月を見上げながらの夜の宴は、琴で爪弾く「良宵引」に耳を傾けながら…という贅沢さ。
風も凪いだ穏やかな夜が心地良かったです 

8月10日(土) 「琴遊会 ~琴とお茶の会~」「生風流免状授与式」(集会室)

前回6月より、偶数月に復活した「琴遊会」
盛夏の開催となった今回は、特別編「浴衣の会」でした。照りつける日差しの中、28名もの方々にお集まりいただきました。

ご家族の小さな可愛らしいお客様や、浴衣美人さんに宋美人さん、文人のお客様、中国からの留学生など、多彩なお客様をお迎えしました。
琴社の最年少、大学一年生の青年は初々しい「調絃入弄」を披露。一方で、十年以上お稽古に通われている80代の姉弟子さんの「憶故人」は、一音一音が滋味あふれ、聴く人たちの心を惹きつけていました。

この夏、東京聴風琴社「生風流」では、4名の方が進級されました。準師範1名と、初伝3名です。
準師範となられた生徒さんは七年間月二回、滋賀県から休まずに通われたそうです。
なかなかできないことですね。
「道」を行くとは、地道な努力の積み重ねなのだと、改めて教えていただいた思いです。

進級された方々のお披露目として「漁樵問答」、「双鶴聴泉」、「良宵引」が演奏されました。

ゲストとしてお迎えした青森からのお客様は、新舞踊「古城」を披露くださいました。
お土産の摘みたてブルーベリーもありがとうございます!まるで長年在籍されて一緒に活動してきたかのように、すっかり会の雰囲気に溶け込んでくださいました。

またこの日は、寄贈いただいていたハンドトーンチャイムのデビューとなりました。
さすが音楽好きな皆さん。武井欲生先生の指揮により、即興で「きらきら星」や「ハッピーバースデイの歌」の演奏を楽しみました。

ハッピーバースデイ…そう、8月生まれの会員さんのお誕生日を祝うためにバースデイケーキも登場です。
姉弟子さん、80+○歳のお誕生日おめでとうございます!

盛りだくさんでとても楽しい会になりました。お集まりいただいた皆様、ありがとうございました!
ぜひまた、遊びにいらしてくださいね

7月22日(月) 「頌今の音楽世界~中日両国音楽家コンサート」(東京・板橋区)

中国国内で多くの歌曲を作詞作曲し、流行音楽を世に送り出してきた呉頌今氏のプロデュースにより
中国・日本両国の音楽家が集結してのコンサートが開催されました。

午前9時半からと午後7時からの2回に分けての大々的なコンサート。
板橋区立文化会館大ホールの定員約1200名の客席はほぼ満席で、くつろいだ雰囲気で演奏や歌、舞踊を楽しんでいました。

武井先生は、午前の部で呉頌今氏作曲の「心經」を独奏
夜の部では「關關雎鳩」を鄭文萍氏の洞簫と呉頌今氏の吟唱との共演で演奏されました。
「心經」は、般若心経を素材として呉頌今氏が作詞作曲したオリジナル曲です。
「心經」をもとに、いろいろな方がアレンジ・演奏されているので、聴き比べてみるのも面白いですね。

7月14日(月) 中国・沙湾「嶺南佳果楽」中日文人交流会(中国広東省番禺区沙湾鎮)

翌日は、広州方面へ戻りながら沙湾古鎮へ。
嶺南文化の趣を色濃く残す街で、祠堂や廟宇などの建築、広東音楽、龍舞、獅子舞などが有形、無形文化遺産に指定されています。

沙湾古鎮の古い建物を生かしたアトリエ「稼軒琴房」をお借りして、武井欲生先生が発起人となり「嶺南」雅集を開催しました。

普段ギャラリーとしても使われている風情ある「稼軒琴房」は、古琴文化と嶺南伝統文化の伝承のために琴棋書画の講座も開設
オーナーのお父様は著名な嶺南画家だそうです。

古琴の名士と、日本の箏の弾き手、茶人と書家も集っての洗練されたひととき。
歴史ある町と文化を大切にされる方達の高い美意識には、大いに学ぶところがありました。

7月13日(日) 中国・新会「中日古琴文化交流雅会」 (中国広東省江門市新会区)

温暖な気候と豊かな自然に恵まれた広州は、海上シルクロードの拠点として古くから栄えた重要な港町でした。街を歩くとエネルギッシュな喧噪の中にも、歴史と文化の積み重なりを感じることができます。

そんな土地で生まれた「嶺南」の文化。
広州で生まれ育ち、古琴を学んだ武井欲生先生は、古琴「嶺南派」の第一人者です。
その「嶺南派」ゆかりの地、広東省の新会と広州を訪ねて参りました。
広州白雲空港から車で南へ下ること二時間余り。   
広東省江門市新会は、温暖な気候と豊かな自然に恵まれた珠江デルタに位置する古き佳きリゾート地です。また、北から迫る元軍に追われ、南宋最後の皇帝がわずか八歳で入水した宋の終焉の地でもあります。

貴族たちが伝えた文化の薫りを纏った美しい街・新会で交流演奏会を企画して下さったのは、黄俊同先生が率いる新会七木琴社です。
七木琴社の広々とした教室に大きく掲げられた赤い幕には「中日古琴文化交流雅会」の文字。それだけでも伝わる暖かい歓迎の気持ちですが、若いお弟子さんたちが皆さん爽やかで、親切で、和やかな雰囲気の中で演奏会が始まりました。

この旅では、日本の箏の奏者の方にご一緒いただきました。
演奏会では、小田切貴子さんが筝曲「さくら幻想」を、中野渡勝弘さんが筝曲「千鳥の曲」と舞踊「黒田節」をご披露くださいました。
古琴は、七木琴社のお弟子さんたちが「平沙落雁」や「関山月」を、三浦(筆者)は嶺南派ならではの曲「碧間流泉」を弾きました。
後半は「高欲生老師古琴講座」の趣で、若いお弟子さん達から「人前での演奏で緊張しないためには?」「長い曲を暗譜するコツは?」「美しく演奏するには?」などの質問が次々に寄せられました。
武井先生も「碧間流泉」の演奏を披露。
会場の熱い雰囲気から、お弟子さん達の古琴への真っ直ぐな思いが伝わって来ました。

会の終了後は、撮影タイム!
浴衣をとても喜んでいただけて、次々に写メを頼まれ、ちょっとしたスター気分!?
日本の箏にも興味津津で、中野渡先生が若者達に囲まれて説明していらっしゃいました。

ところで、この時期に訪ねたのには、わけがあります。
今まさにライチが赤い実をたわわに実らせる季節だからです。
「一騎紅塵妃子笑 無人知是茘枝」杜牧の詩にもあるように、楊貴妃も愛したというライチを好きなだけ食べられるなんて夢のようです!
黄俊同社長やお弟子さんの車で、新会の名所をご案内いただき、いよいよライチ畑へ…

ところが、ライチは一週間前に全て収穫が終わってしまっていました。
その代りと龍眼(ロンガン)の木を一本「好きなだけ食べていいよ」と与えられ、甘く瑞々しい実を堪能したのでした。
新会は陳皮(みかんの皮を干したもの)の産地としても有名で、お茶だけではなく料理にもたくさん取り入れられています。名物「焼鵝」料理もとても美味しいです。 食べ物の話にそれてしまいましたが、武井先生は「来年も企画する」とおっしゃっています。興味ある方(食べてみたい方?)
是非、参加されてみませんか?


6月29日(土) 本居宣長記念館 演奏会 (三重県松阪市)
主催:公益財団法人鈴屋遺跡保存会本居宣長記念館

三重県松阪市にある本居宣長記念館。
夏の企画展「古代の音 ―古を見る、古を聞くー」展の関連イベントとして、本居宣長の旧宅「鈴屋」での古琴演奏会にお招きいただきました。
東皐心越が日本に渡来したのが、本居宣長が生まれる五十年ほど前のこと。
琴学の波は伊勢の地にも及び、江戸時代の三都(江戸、大阪、京都)以外では希にみるほど琴学が栄えた縁の地となったのでした。


演奏会は14時からと17時からの二回行われましたが、各回30名を越えてお集まりくださったお客様達は、そんな歴史と伝統の蓄積された街らしく、とても熱心に耳を傾け、素晴らしい演奏会の雰囲気を一緒に作り上げてくださいました。

「鈴屋」には電気による灯りがありません。開け放たれた障子窓から入り込む自然光のみに包まれて、昼の明るさに夕闇が溶け込んでいく気配は、まさに江戸時代の夕べそのもののように感じられました。
浦上玉堂は、岡山藩を脱藩した後の放浪の旅の途中、松阪に立ち寄り、宣長の元を訪れたそうです。その席に琴の音が流れたのかどうか…そんな光景も髣髴とさせる幽玄な空間でした。

演奏会の終了後には、たくさんの質問をいただき、古琴のもとに多くのお客様が立ち寄って下さいました。館長さんからも「皆さん本当に喜んでくださいました」とのお言葉をいただき、有り難い限りです。

たいへん貴重な経験をさせていただきました。雨混じりの中お越しいただいたお客様、温かくご支援くださった本居宣長記念館の館長様はじめスタッフの皆様に、心より感謝申し上げます。

プログラム 「調絃入弄・慨古吟」「神人暢」「流水」「陽関曲」「梅花三弄」
アンコール「ふるさと」

6月8日(土) 琴遊会 ~琴とお茶の会~ (集会室)

昨年はお休みしていた「琴遊会」が一年ぶりに復活しました。
かしこまった演奏会ではなく、琴を楽しく身近に親しんでほしい…そんな願いをこめての再開です。

皆でテーブルを囲み、武井欲生先生自ら淹れてくださるお茶とともに、琴の音色を楽しみました。
東京聴風琴社の門下生たちが演奏を披露しましたが、私たちにとっても同門の方々の演奏を聴くのは楽しく刺激ももらえます。
途中、武井先生のお話に熱が入り、「公開レッスン」の趣となる一幕も。演奏の技法や曲との向かい方など、貴重な指導もいただき、とても勉強になりました。
今回は、飛び入りで東京在住のイギリス人のお客様も遊びに来てくださり、大英帝国博物館や正倉院の所蔵の琴の話で盛り上がりました。

2019年4月6日(土) 第五回日中文人交流会「一期一会」(東京都台東区)

上野の東京国立博物館応挙館での日中文人交流会も、お蔭様で今年で第五回を迎えることができました。
今まで、茶道や香道、書道、詩吟など様々な分野の方々と共演させていただきましたが、今回はいったんコラボレーションを一休みし、古琴の演奏にじっくり耳を傾ける会となりました。

お迎えしたのは、武井先生と長く交流のある台湾の孫于涵先生と、自ら希望してご参加くださった中国からの4名の琴士たちです。
孫先生は台北で「明溪山房」を主宰、ご自身でも古琴を製作される方です。
この日も、自作の古琴で『平沙落雁』を弾いてくださいました。この『平沙落雁』は絶妙な間合いで、初めて聴くアレンジにすっかり聴き惚れてしまいました。
中国からの若い琴士の方々は、会話の節々からも古琴への熱い思いが伝わって来ました。『流水』『関山月』『欸乃』『水仙操』を端正に、清々しく聴かせてくださいました。
東京聴風琴社からは、『双鶴聴泉』『帰去来辞』『臥龍吟』を。『臥龍吟』は、「どうしたら古琴の裾野が広がるだろうね」という会話が発端で、ドラマ「三国演義」のテーマ曲を琴のアレンジしたものです。古典曲とはまた違った雰囲気を表現できたでしょうか。
そして、何といっても面白かったのが、友情出演としてお越しいただいた桶田加代先生の長唄です。古琴曲の流れの中に置いてみると、三味線の音色の「日本的」な情緒が実に引き立ちました。特に、武井先生とのコラボで弾かれた『酒狂』は、あの阮籍が日本酒で酔っ払ってしまったかのように、とても楽しい「千鳥足」加減でした。
約50名のお客様と共に、のびやかで落ち着いた演奏会となりました。足をお運びくださった皆様に心より感謝申し上げます。
今年は春の足取りがゆっくりだったおかげで、応挙の庭では、満開の桜と花吹雪の両方を楽しむことができました。誰が言い出したのか「落ちてくる花びらを手のひらに掴むと幸せになれる」と、お昼休みには花吹雪を追いかける大人たちの姿が…。
「令和」の典拠となった天平二年(730年)の大伴旅人の「梅花の宴」でも、もしかしたらそんな姿が見られたのでしょうか。
我が園に 梅の花散る ひさかたの 天より雪の 流れ来るかも
主人(大伴旅人) 「梅花の歌 三十二首」より

2019年2月7日(木) 日中友好会館ミュージアムコンサート(東京都文京区)

春節の三日目。
小石川後楽園に程近い日中友好会館で、新年を祝う演奏会が開催されました。
この時期に開催されていた「漆×絵画のハーモニー 蓮福美術館中国漆画(しつが)展」の展覧会会場でのミュージアムコンサートです。
中国漆画は、1984年に確率した比較的新しい絵画ジャンルで、漆芸技法を自由に応用して絵画的な表現を追及したものです。
素朴であり、ダイナミックでもあり、またどこか懐かしいような中国の風景を焼き付けた大きな額絵に囲まれての素敵なコンサート。
「漆」のご縁で、「漆」の楽器…古琴と尺八をお招きいただきました。
出演は、武井欲生先生と尺八の林鈴麟先生。竹川陽子さんが司会を務めました。

用意していた50席は予約で埋まり、立ち見も含め100名を越えるお客様にお立ち寄りいただきました。
演奏曲は、武井先生の独奏で「春曉吟」「碧間流泉」「漁樵問答」。
尺八と古琴の合奏「龍朔操」。
尺八の独奏で「春の海」。
古琴の合奏には三浦も加わり、「陽関三疂」と「神人暢」を演奏しました。
お客様が心地よく耳を傾けてくださっている雰囲気の伝わる、温かいコンサートとなりました。
ご来場いただいたたくさんのお客様、また準備段階からご尽力いただいた日中友好会館のスタッフの皆様に、心より感謝申し上げます。

2019年2月2日(土) 第3回定時会員(社員)総会(東京都品川区)

2年に1度開催している定時総会を開催いたしました。